徳島大学大学院医歯薬学研究部 泌尿器科学分野

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泌尿器科の病気、治療について

尿路結石症の疫学

 わが国における1965年から10年ごとに行われている尿路結石症の疫学調査によれば、尿路結石症は年々増加しており、年間罹患率(1年間にこの病気にかかる割合)は2005年の時点で1965年の3倍となっています。

 男女比はほぼ5:2で男性に多くみられますが、近年は女性の比率の増加傾向を認めています。

 再発率も高く、腎結石での再発率は5年間で45%、10年間で60%とされています。発症する年齢は全年齢ですが、男性では特に20-60歳代に、女性では閉経後の年代の女性に多くみられます。

尿路結石症の原因

 尿路結石は主に腎臓で尿中のカルシウムや尿酸などの無機質の結晶とたんぱく質などの有機物が固まってできます。尿路結石の原因は尿の流れの停滞や代謝異常症などの内科の病気・薬剤による影響などが考えられますが、80-90%はっきり直接的な原因がわからないと言われています。

 尿路結石の成分は、カルシウム(蓚酸Ca、リン酸Ca)が約90%で最も多く、次いでリン酸マグネシウムアンモニウム7.4%、尿酸5.2%、シスチン1.0%、その他7.0%となっています。

 また海綿腎、原発性副甲状腺機能亢進症や尿細管性アシドーシスといった内科疾患に伴ってみられることがあります。さらに体動制限や長期臥床状態では、尿流停滞や尿路感染を惹起して尿路結石を作りやすくなると言われています。内科の代謝異常として痛風や副甲状腺機能亢進症や、クッシング症候群、骨粗鬆症、膠原病や、サルコイドーシス、腸疾患(クローン病などの炎症性腸疾患、広範囲の小腸切除)などによる高蓚酸尿によっても尿路結石症の発症する危険性が高くなります(表1)。

表1 尿路結石の原因

尿流停滞:排尿障害などにより、尿が体内に長期間留まること

尿路感染

長期臥床:姿勢が変わらないので尿流停滞が起こるため

代謝異常

原発性副甲状腺機能亢進症

高カルシウム尿症

高蓚酸尿症

低クエン酸尿症

シスチン尿症

遠位尿細管性アシドーシス

クッシング症候群

薬剤性

アセタゾラマイド

ステロイド

活性型ビタミンD

尿酸排泄促進剤

プロテアーゼ阻害薬

尿路結石症の症状

1.典型的な症状(腰痛、血尿、吐き気)

 尿路結石の最も大きな症状は背中や側腹部の強い疼痛(とうつう:ズキズキする痛み)です。この痛みは夜中から明け方に多くみられます。他にも頻尿・残尿感などの膀胱炎のような症状、吐き気や嘔吐などもみられます。背中や側腹部の疼痛は尿路が結石によって急に閉じたことによって起こる腎盂内の圧力の高まりや尿管壁の過剰な蠕動運動(せんどううんどう:腸などの器官が内容物を流す動き)により生じます。夜間に多くみられるのは、夜間に尿が濃縮されるために、結石周囲の尿管が濃縮された尿によって腫れ閉塞が起こるからではないかと考えられています。頻尿・残尿感などは結石が膀胱と尿管の変わり目まで移動してくるとあらわれる症状です。また、吐き気、嘔吐などは自律神経を介しての腸管の反射性麻痺によるものです。尿に血が混じる、血尿も重要な症状ですが、自覚できるほどの血尿(肉眼的血尿)でないことも多く、診断時に確認できる顕微鏡的血尿の場合が多くあります。ただし尿潜血・血尿が陰性であるときも、必ずしも尿管結石を否定できるわけではありません。

2.尿管結石症を放置すると(水腎症から腎機能低下にいたることも)

 閉塞状態が長引くとたまった尿により尿路が広がり水腎症となります。水腎症になって放置した状態が長いと腎機能が低下し、最終的には腎機能が失われます。疼痛は逆に数日感で軽減します。ですから、背中や側腹部の激しい痛みが収まったからといって放置すると、結石が排出されず長期に同じ部位に停滞して、尿管粘膜により被覆され、嵌頓結石(かんとんけっせき)と呼ばれる状態になり、自然と治る可能性は非常に少なくなります。尿路結石によって無尿状態になると、結石性の腎不全につながります。

3.感染を起こすと(重症感染症では菌血症を起こしたり、死亡に至る可能性があります)

 尿路結石によって起こった水腎症の部分に細菌感染がおこると、結石性の腎盂腎炎を起こします。また、重症化した結石性腎盂腎炎では、菌血症になって生命の予後を左右することもあるため、早急な泌尿器科的手技が必要とされます。

尿路結石症の検査

 尿路結石症の診断に必要な検査として、尿検査、レントゲン検査、超音波検査、CT検査が行われます。
 尿検査:尿を遠心分離したのち、沈渣物を顕微鏡で調べ、血液が混じってないか、細菌は混じってないか、結晶はないか、あれば結晶の種類はどのようなものかを見ます。
 レントゲン検査:普通の腹部単純レントゲン撮影で結石の陰影を捜すほかに、造影剤の注射を行いながら撮影する経静脈的尿路造影が行われます。この方法により結石の大きさだけでなく、腎盂や尿管の程度、腎臓の働き具合まで知ることができます。
 超音波検査:超音波信号を映像化して観察する方法で、尿路結石症では水腎症の程度や結石の大きさ、位置を調べます。レントゲンに写りにくい尿酸結石などの診断には有用です。また、妊娠している女性など放射線を使いたくない方の診断には欠かせません。
CT:体の断面(輪切り)を画像化して調べる検査です。一般的なレントゲンと異なり、放射線透過性結石や微小な結石の有無を調べられます。また、腎実質の状態も調べられます。

尿路結石に対する治療療法

 体外衝撃波砕石術(ESWL)、経尿道的尿管砕石術(f-TUL)、経皮的腎砕石術(PNL)などさまざまな治療法があります

 痛みの緩和後は、結石を体外に出すための治療に移ります。治療法は部位・サイズにより異なります。3割程度の人は手術療法が必要になると言われています。

1.経過観察(小さい尿路結石は自然と出てくるのを待ちます)

 5mm以下の結石は、飲水、運動などの日常生活指導のみで自然排泄を期待できるため、無処置で経過を診ていきます。この際に尿が出やすくする薬剤や、尿管を弛緩させる効果をもつα1ブロッカーを使用して排石を促すこともあります。

2.手術療法(排出されない結石や、必要な場合には手術を行ないます)

 繰り返す疼痛に患者さまが困ってしまうとき、尿路感染の合併、尿が腎にたまって機能低下が懸念される場合は積極的に処置や手術も行います。また結石が10mmより大きい場合には、飲み薬による治療では石の治療は不可能なことが多いので、結石を体外に出すため手術療法を行います。結石の部位や大きさをもとに下記にあげる、体外衝撃波砕石術(ESWL)、経尿道的尿管砕石術(f-TUL)、経皮的腎砕石術(PNL)の手術方法から、患者様と主治医が相談しながら、手術の選択をおこないます。

体外衝撃波砕石術(ESWL)

 ソナーの原理を利用して、衝撃波エネルギーを結石に照射し、結石を細かく破砕する方法です。ESWLによって生じた破砕片は尿とともに体外に排出されます。低侵襲で安全性が高い方法で、高齢者でも比較的簡単に手術を受けていただけます。

経尿道的尿管砕石術(f-TUL)

 ESWLは結石を砕いて小さくするだけで、結石の排出は行なわないため、石の出てきやすさは、尿管自体の運動や太さなどに依存しています。それに対して、f-TULは、直径約3ミリの細径の内視鏡を尿路内に通して、ホルミウムYAGレーザーで石を砕いて、バスケット鉗子などで石を取り出す(抽石する)方法です。軟性尿管鏡は軟らかく、先端が自由に曲がるため、膀胱から腎臓内まで治療ができます。これまでは、硬性鏡という内視鏡が使用されており、下部の尿管や膀胱や尿道などの下部尿路結石にもちいられることが多かったのですが、デジタル細径尿管鏡やアクセスシースなどの各種デバイスの進歩と共に、上部尿路の治療も積極的に行われる様になってきました。軟性尿管鏡を用いるこの手技はf-TULと呼ばれています。f-TULでは結石を直視下で観察するため、結石を細かくして抽石操作まで行なうため、尿管結石の除去という観点においては、より優れた治療と言えます。比較的大きな結石・感染を伴う結石・尿路狭窄を伴う場合などは、f-TULが推奨されています

 当院では2009年より砕石効果の高いホルニウムYAGレーザー、細径軟性鏡(腎盂尿管ファイバースコープOLYMPUS URF TYPE V、Flex X)、を導入してf-TULを行っています。現在まで約200例を超えるf-TULをおこなっており、尿管結石に対して80%をこえる良好な治療成績を認めています。ただし2.0cmを超える腎結石や珊瑚状結石に関しては、TUL単独での治療成績はそれほど良好ではなく、複数回の治療や、他の治療との組み合わせが必要となります。手術合併症には血尿、腰痛などの術後挿入する尿管ステント(ダブルJステント)に起因するものから、尿路感染症、尿管狭窄などがありますが、その頻度は2−4%程度です。治療の費用は入院期間によっても変わりますが、約10-15万円程度です。詳細は外来で相談ください。


経皮的腎砕石術(PNL)

 ESWLやTULでの治療が難しい2cm以上の結石、とくに腎にできた珊瑚状結石などに対する治療で用いられる方法です。結石のある側の背中から腎臓の中まで腎瘻という経路を作成し、腎瘻を通して内視鏡を挿入し、内視鏡を経由して挿入した砕石装置で砕石を行って、最後に石を取り除きます。珊瑚状結石はガイドライン上でもPNLによる治療が推奨され、ESWL単独治療は第1選択にはならないことが明記されています。しかしながら、PNLは腎瘻を作製する点で観血的であり、ESWL、TULと比べ侵襲がおおきいことが知られています。出血(輸血が必要となるときもあります)、気胸、水胸、敗血症など重篤な合併症をきたすことがあり、施行に際しては洗練された技術・経験が必要とされます。治療の費用は入院期間によっても変わりますが、約15-20万円程度です。詳細は外来受付に相談ください。


尿路結石症の再発予防

再発

 この病気は再発が多いことで知られています。再発率は5年間で20%、20年間で実に80%の数字が報告されています。最初の治療で結石を完全に取り除くことが絶対条件ですが、同時に治療が終わっても再発予防の対策を立てなければなりません。そのためには日頃の食生活が大切です。

結石を予防する食事

  • -生活の知恵--生活の知恵-

1.カルシウム+シュウ酸
 これまで尿路結石の再発予防にはカルシウムの制限が大事であるといわれてきましたが、長期にわたるカルシウム制限は骨粗鬆症などをきたすことが知られています。むしろカルシウム不足によりシュウ酸の吸収と尿中への排泄がふえて、結石形成を促進するためにカルシウム抑制よりもシュウ酸の制限が重視されています。

2.水分を十分に取る
尿が濃くなると結石ができやすいので、水分を充分に補給しましょう。
結石をつくりにくくし、結石の自然の排泄を促します。

3.野菜、海草、青身の魚を適度に
マグネシウムが豊富な野菜を食べることで結石の形成を抑制することが出来ます。アルカリ性の野菜は体の酸性化を防ぎ、結石の抑制物質であるク工ン酸を作ります。ただし、野菜ばかりの食生活ではシュウ酸の取り過ぎにつながりますから、1食1皿を目安にするといいでしょう。

4.バランスのとれた食事、規則正しい生活
偏った食生活や過食、運動不足になると結石が出来やすくなります。食事はバランス良く規則正しくを心がけ、肥満にならないように注意しましょう。夕食は軽めにして、夜遅くにはとらないようにすることが大切です。夜食べたものが尿中に排泄されて尿中の濃度が高くなり、結石が出来る好条件になります。寝る直前の食事も同じ意味で厳禁です。「結石は夜作られる」ことを肝に銘じておいてください。

尿路結石は再発しやすい病気です。再発防止や早期発見のためにも定期的な検診を受けましょう。

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